ところ(とき)変われば

今から2、30年ほど前
テレビの情報番組で、
「既婚者限定で、誰でもちょっとの努力で1億円収入を増やす方法がある」
と、ゲストコメンテーターが言っていた。
なに?
私は興味深々で、長いCMが終わるのを待った。
その回答は、
「奥さんに働いてもらうこと」
だった。
なるほど、、、、
20歳から60歳定年まで40年勤めたら、ざっと1億円か、、、
妙に納得した。
あの頃は、まだ専業主婦が多かった時代。
「ダブルインカム」と言う言葉も、この頃から言われるようになったのではないか。
一部の「ダブルインカム夫婦」は裕福な生活を謳歌しており、テレビではその生活ぶりを紹介したりしていた。
「結婚しても仕事を続けて余裕のある暮らしをする」
そう考える人が増えて共働きの家庭が増えれば、それがノーマルとなり、世の中の仕組みも変化していく。
昨日新聞を読んでいたら、どこの自治体だったか、保育園でレトルト食品の販売を始めたなんて記事が載っていた。
大人2人分+子ども1人のセット販売もある。
仕事で疲れた母が保育園にお迎えに行き、保育園でレトルト食品を買えば、そのまま家に帰って夕飯が食べられてしまうのだ。
買い物や調理に時間がとれない母親に大好評だとか。
栄養価も考えられていて、外食するよりいいらしい。
また他の自治体では、小学校の開門を早めて、働く母親の代わりに教室を開放し、無料で朝食を提供するサービスを始めるそうだ。
世の中の母親の多くが働くようになれば、こう言うサービスが生まれるのも必然だ。
働きながら子育てするのは大変だ。
今や、両親共働きでなければ子どもを育てるのは経済的に厳しい。
私が実家にいる頃は(もう30年以上も前の時代)、専業主婦の母が家の切り盛り一切を行っていた。
夕飯を出来合いの物で済ますなど、特別のこと(親戚にご不幸があったとか)がない限り許されない風潮があった。
その頃、ワシントンに在住していた友人夫婦宅に遊びに行ったことがあった。
一緒にスーパーマーケットに行くと、巨大な冷凍陳列棚に、メインディッシュと野菜の副菜がセットになったワンプレート品が何種類も並んでいた。
驚く私に友人は、
「アメリカ人は共働きが多いから、夕飯は冷凍食品チンが普通だよ」
「一回のチンで、メインも副菜もまとめて出来上がっちゃうって、すごいよね」
と。
その発想は更に私を驚かせた。
私が小学生の頃、クラスでメガネをかけている子は必ず「メガネザル」とあだ名をつけられていたし、
両親共働きでランドセルに鍵を付けている子は「かぎっ子」と呼ばれていた。
今、小学生高学年のクラスの半分以上がメガネをかけ、両親共働きの家のほうが多いから、誰もそんなあだ名で呼ばれたりしない。
それどころか、
「裸眼なの?すご〜い!」なんて驚かれる。
そうそう、スウェーデンに住んでいる友人から聞いたのだが、
友人曰く、スウェーデンの離婚率はかなり高く、両親共同で親権を持つため、離婚しても子どもが成人するまで近くに住むことが多いらしい。
父親宅、母親宅に1週間単位で過ごすのだとか。
「今日、おまえどっちの家?」
「マミーの家」
「そっか、じゃあ今日は遊べないね」
って会話が普通に飛び交うんだとか。
これ、公立の小学校でのこと。
私が驚いたアメリカの状況も、今や日本の普通の状況になりつつある。
皆んなと違うと心痛めていた状況だって、数年経つと変わってきたりするんだ。
どちらが良くて、どちらが悪いということではなく、時代や場所、社会の在り方によって、常識も人の考えも変わってくるものなのだ。
欧米の生活に憧れていた日本人。
今世界中の人たちが、日本に憧れてやって来る。
遠い昔、部活から疲れて帰った冬の日。
玄関を開けると煮物の甘辛い香りが漂ってきた。
何も感じずに過ごしたあの日常が、実はとても贅沢なことであったのだと、今になって思ったりしている。